アカデミーの帰り道、懐かしい顔に出会った。




                                  ―――    ―――





     「あっれ〜!? ちょっとサクラじゃなぁい、久しぶり〜v」

     「あ・・・サクラちゃん、お久しぶり・・・」

     「いのー!? ヒナタも! どうしたの、二人そろって? 任務の帰り?」

     「ふふ、いのちゃんはね・・・。 私は・・・、ちょっと紅先生のところに・・・」

     「とか言っちゃって、実は、ナルトんところにお弁当届けに来たのよv このコ」

     「い、いのちゃん・・・!」

     「アハハ、ナルトの奴、これから任務なの? 放っておくとカップラーメンしか食べないだろうから、ヒナタも大変だね。 
     そういえば、最近顔見てないけど元気にしてる?」

     「う、うん。 元気だよ。 サクラちゃんにも会いたがってた」

     「今度、みんなで会いたいね。 いのは任務って・・・相変わらずのメンバー?」

     「そー。 いっつもいっつも“イノシカチョウトリオ”で、もうウーンザリ・・・。 別の若くてイケメンな中忍様たちと組ませてもらえないものかな〜・・・」

     「アハハ、贅沢言っちゃってー。 あんたのトコって昔からチームワーク抜群だったからね。 崩すのは惜しいんでしょ、師匠も。
     阿吽の呼吸でフォーメーションだって綺麗に決まるし、それぞれの長所を活かせる理想のスリーマンセルじゃない」

     「うーん、まあねぇ・・・子供の頃からって言うか、親の代から一緒の腐れ縁だからねえ。 お互い、癖は分かってるけどさ」

     「あ・・・、そういえば、シカマル君は? いのちゃん、一緒に帰らなくていいの?」

     「・・・何で任務終わってまで、アイツと顔合わせないといけないのよ。 ヒナタ余計なお世話・・・」

     「アハハ、いのったら、別に照れなくても良いじゃない。 シカマル元気にしてるの?」

     「ハイハイ、元気ですよー。 この後もすぐに別の任務があるって、そのまま行っちゃったわ。 あと2、3週間もしたら戻るって」

     「あ・・・、ゴメン・・・」

     「いやあねー。 気なんか遣わないでよ、デッコリーンのくせにv ・・・それにもう、慣れてるし!」

     「いのちゃん・・・」

     「フフ、何でヒナタまでそんな顔するのカナ。 ナルトだってそうでしょ? それよりもあんたの方はどうなのよ? サ・ク・ラ!
      ナルトやシカマルよりも忙しそうじゃない? アイツ」

     「アイツ・・・?」

     「やーだ! 何とぼけてんの? そういや最近見かけないけど、相変わらず国外任務?」

     「・・・だ、誰の事、言ってるのカナ・・・?」

     「クスッ・・・サクラちゃん・・・顔が真っ赤」

     「・・・もしかしてさ、バレてないとでも思ってんの? やーだ! あんた、もうバレバレだよぉー!」

     「・・・だから・・・何の事・・・」

     「サクラァー。 あんたカカシのこと、好きなんでしょー?」

     「・・・どうして、そう・・・思うのよ・・・」

     「だって、カカシの話すると、すーぐ真っ赤になって慌てまくってるしぃー?」

     「・・・・・・」

     「カカシの姿が見えると、もう真っ直ぐそこしか見てなくて周り全然見えてないしぃー?」

     「・・・・・・・・・・・・」

     「ホント判りやすいわよねー、サクラって」

     「(クスクス)」

     「・・・最近、別の人にも言われたわ。 同じ事・・・・・・」

     「でしょ!? だーから、バレバレなんだってーv しょっちゅう二人で見つめ合ってるしさー。 で、カカシもさあ、あんたの事満更でもなさそうだし・・・。
      この際、頑張っちゃえばぁー?」

     「が、頑張る・・・?」

     「いつまでも黙ってたって、しようがないでしょうが。 何なら私が代わりに言ってきてあげようか?」

     「い、いのちゃん・・・」

     「いの! よ、余計な事しなくていいから!」

     「だってつまんないじゃなーい。 あっ! ひょっとして、もう付き合ってるとか?」

     「!!」

     「そうよねー。 あのカカシがカワイイ娘に手出さない筈ないもんねー。 実はもう、深ーーい仲だったりして・・・?」

     「い、いのちゃんってば・・・」

     「そ、そんな訳ないでしょうが!! いくらカカシ先生だって付き合って一週間目で、そこまで――― 」







     「「・・・え・・・?」」







     「・・・あ・・・」






     「・・・・・・ビンゴ?」




     「・・・・・・」




     「・・・ちょっと、サクラァーv」

     「・・・何よ? いの、その嬉しそうな顔・・・」

     「ちょっと、ちょっとぉー! 詳しく教えなさいってばーv」

     「べ、別に教えるような事は何も・・・」

     「あんた、この私に隠し事が出来ると思ってんのぉー?」

     「オ、オモッテイマセン・・・」

     「フッフーン! どうせ今日は、シカマルもいないから暇だし、じゃあ今夜は、あんたんトコ泊まるからヨロシクネ! 
      あっ、ヒナタもナルトがいないから暇よね! よーし。 今夜は女三人、サクラの部屋で喋り明かすわよぉー!!」

     「え、ええ・・・? いのちゃん・・・あの・・・・・・」



     「いの・・・、張り切り過ぎ・・・・・・」











     翌日、『はたけカカシと春野サクラはやっぱりデキてた』という噂が、里中を駆け巡った。 発信源は、言うまでもなく。






    (ごめんなさい、カカシ先生。 私、いのには、どうしても勝てませんでした・・・。 ヒナタも嬉しそうに聴いてないで、いのの暴走止めてよね・・・。)